高卒は本当に不要なんでしょうか?

大卒の内定取り消しばかりがメディアで目立っている。
もちろん大卒者の内定取り消しも本当に気の毒で、新卒入社した企業によってかなりの部分を左右されかねない彼らは憤慨するのはもっともだ。


しかし、内定取消以上に、私は高卒者の新卒採用の少なさが気になっている。


家庭の事情で、あまり裕福な地域でない地域の学校へ行っていたので、母子家庭や父子家庭も多く、小さなあずまやに5人兄弟なんて家庭も身近だった。


そんな中に、両親は共働きで、たくさんの小さな弟、妹たちの面倒を見ながら一生懸命勉強も頑張っている子がいた。
予習復習のノートはびっちり埋められていて、白紙同然の私のノートとは比べものにならないような努力の跡。
とにかく真面目にコツコツを地でいくタイプだった。
そんな彼女も当然のように商業高校を出て、地味だが安定した優良企業へ就職をしていった。


彼女は今も子育てをしながら、相変わらず同じ会社でコツコツ仕事を続けている。
仕事上、どういう評価を受けているのかはわからないが、リストラも乗り越え、ひとところで働けているのだから努力が評価されているのだろうと思う。


彼女が就職した頃はまだバブル時期だったおかげもあってチャンスを活かすことができたのだが、現代ではどうだろう。


男女問わず、好む好まざるに関わらず、大学に進学しなかった人の求人倍率はどんどん下がっている。
高卒の人数が減っているにも関わらずだ。

もともと工業高校や商業高校は、職業訓練校としての実績があり、職業人を育成する機関であったはず。
それが就職先を失い、派遣としてしか職を得られない人が増えているという現状に何か不吉な未来を感じている。


大学進学率が50%を超えたとはいえ、ほぼ半分は大学進学していないことを皆忘れていないだろうか。


80年代は一般職は高卒、短卒女子の採用が多く、工場は高卒男子の採用が多かったところだが、いずれも正社員での採用をしないようになり、派遣社員期間工でまかなうようになってきている。


企業が利益を確保するために、削るべき部分はそこだったのだろうか。
単に「利益の前どり」をしてしまったのではないだろうか。
結果的に残されるのは、派遣社員期間工しか経験がなく、正社員になれる可能性が低くなった若者達。
これからの将来をどう生きていけばいいのだろう。
納税義務も将来負っていけないかもしれない。
今の若者から吸い上げてしまった分は、上の世代が甘受しているようだが、今後も将来の利益をどんどん吸い上げてしまうつもりなのだろうか。

特に地方はもともと就職先が少なく、どうしても地方に残りたい事情があるものにとっては救われないこととなっているのだろう。


派遣村の一部プロ市民のバッシングばかりが続いているが、仕事を本当に見つけられない人の支援はしなければならないと思う。

最低限生きること以上に、将来のために生きてもらわなければならない。