IT系はやめておけ

前の会社の元部下が転職活動中。

まだ20代前半だけれど、事情もわかるので転職は止める理由がない。

先日、何社か知っているところを紹介したのだが、少し迷っているようだったので辞退してもらった。
ピンとこないけれど先輩の紹介だからと入ってしまったらきっと後悔するだろうと。


転職には前向きな理由も後ろ向きな理由も両方ある。
当然のことだ。

しかし、転職は会社を辞めるためにするものではない、ということをときどき忘れてしまうことがある。
目的を見失っては本末転倒になってしまう。

彼の場合はちょっと方向を修正してあげるだけで、目的を思い出せるので大丈夫とは思っている。



「BANOさんならどういう業界選びますか?」と聞かれて、
「もしもキミの立場(年齢や性別)なら、メーカー。」と答えた。
理由は、メーカーはプロパーが多く、若いうちでないと入るのが難しいから。
30歳を過ぎたら業界内での転職はできても、異業種からの入社は難しい。
ITは大概、30歳を過ぎても異業種から入れる。

彼は若くして活躍できる可能性が高いことからITも視野に入れている。
年寄りの念仏と思って、と前置きした上で、よい点、悪い点を話した。

良い点はもちろん彼が目を輝かせるような「若手が活躍」というキーワード。
そして悪い点は、「人が育っていない」ことだ。

ITは業界としての歴史が浅く、急成長した分野だけにエキスパートが少ない上、管理部門系は良い人材が少ない。
若手で回すのは人件費を抑える目的もあるが、それなりの年齢のいい人がなかなか入ってくれないという事情もある。


彼は自分で育つ能力がとても高いので、育ててもらえないことは大した問題ではない。
しかし育っていない人材ばかりの中に彼のような真面目で仕事にNOを言わないタイプを放り込んだら、育っていない連中に潰されてしまうのは火を見るよりも明らかだ。

そこが一番の心配だと率直に伝えた。
「なるほど・・・間違いないですね・・・」と、しばらく考えていた。

一生懸命仕事に打ち込んでしまうタイプこそ、IT系は合わない。
上手に取り入ることができて、「忙しくてできません」と言えるタイプなら全力で勧める。
すぐに肩書も付く。

それが苦手な彼には、日本的な少し余裕のある会社のほうが合っていると思った。
それなりの上司に当たれば、経験を積んで能力を最大限に発揮でき、いきいきと仕事ができるはずだ。


転職は、万人が良いという企業があるものではないと思う。
それに私も何度か経験しているが、企業合併や事業譲渡など様々な変化も望まなくとも多い。
今やどんな安定企業と言われる会社でも、何が起こるかわからない。

私が新卒入社したころには考えられなかったことばかりだ。

今の若い世代は大学入学頃からすでに将来のことを考え資格を取得したりと、意外としっかり受け止めている人が少なくない。

「ゆとり」なんて言わせないように頑張れ、若者たち!